映画「キリマンジャロの雪」を観ました

飯田橋ギンレイホールにて。以前岩波ホールで上映していた映画で、ちょっと観てみるかとくらいで入ってみました。フランスのマルセイユで、溶接工をしていた初老の男性が、解雇を機に子どもたちからお金とタンザニア旅行券をプレゼントされる。それをきっかけに、ふりかかる強盗事件。その犯人は、男性のひいだクジによって一緒に職場を解雇されることになってしまった同僚だった若者。彼には、腹違いの弟2人がおり、仕事と男に走る母親に代わって、彼らの学費から食事の世話などあれこれ面倒をみなければならない。そんな彼は、「わざわざ金を払ってアフリカまで貧しさを見にいくなんて、ここにいくらでも貧しい人はいるっていうのに」と言い放つ。初老の男は、妻ともども若い頃から労働者の立場で組合活動をしてきて、プチブルジョア(小市民)を軽蔑していたのに。若者が犯人だとつきとめ警察につきだしたものの、なぜか心は晴れない。その後彼と妻のとった行動があっぱれです。
自分自身の信条に還ろうとする夫と妻それぞれの葛藤や、そこにいたるまでの家族の中での愛がさらりとした感じに描かれています。港町の海風のような、荒っぽいけど飾らない、人と人のかかわりが観ていて心良い映画でした。

DATA 2011年 フランス ★2011年バリャドリッド国際映画祭 銀賞&観客賞受賞
監督: ロベール・ゲディギャン