東中野ポレポレ座、韓国映画祭で観た2本

中年女性の女性の正直な欲望が最後に勝利する物語という文句にひかれて、まず観たのが「ビバ!ラブ」。娘と下宿人が結婚をするはずだったのが、娘は就職が決まったことを理由に、結婚を一方的にとりやめ家出。やけ酒で泥酔をした下宿人を介抱したのがきっかけで、母は下宿人を好きになってしまう。そして妊娠がわかり、さんざん好き勝手にした娘と浮気な夫が抵抗するが、結局2人の愛はゆるぐことなく、出産。ビバ!なのであった。「この年で子をさずかったのは人生の宝物、あなたは好きな人ができればそちらに行けばいい」と不安気な下宿人に語る。夫も結局あきらめて「しかたない、家族としてああいう母さんを受け入れよう」と娘に語る。そして母の産んだ子を娘も世話することに。
もう1本は「飛べ、ペンギン」。韓国の教育熱のすごさは日本以上というけど、子どもを留学させて年に1回会いにいけるのが雁の親で、2〜3年に1回とかいったかな、それが鷲の親で、行かせたっきり会えないっていうのがペンギンの親っていう例えがありました。このセリフが題名に使われているようです。
ビバの方は、下町での話だったのが、こちらは、こぎれいなマンションや一戸建てに住む山の手といった人たちを描いたもの。ここでも女性は強し。役所の福祉関係の部署を舞台にそこに働く人たち。9歳の息子の英語教育に熱をあげる母(チームリーダー)、ベジタリアンで酒が飲めないため先輩から嫌われてしまう男の新人、女性でたばこを吸うことで嫌がらせを受ける新人、子どもと妻がアメリカに留学して、寂しい課長、そして、その父は、妻に熟年離婚をされそうに。日本でもあるあるといえる話ばかり。飲み会にカラオケなどのシーンといい職場の姿は日韓とも変わらんなあと思えました。儒教、家父長、男尊女卑といった共通項をもつ社会だけに。
2本とも、劇中でだれもが、葛藤がありながらも、真っ向ぶつかり合っていく。この小気味よさ。日本的に心にしまってなんてことはなし。夫婦間にしても、親子にしても、職場にしても、不満は不満として、口にだせなくても態度で不満な気持ちを表明している。だまってなんかいるもんかっていう感じが、鑑賞後のすっきりとした気分として残りました。